東京大学人工物工学研究センター

非常勤研究員・客員研究員 七丈 直弘

1. 略歴

昭和45年  生(28歳)
平成6年 東京大学理学部数学科卒業
理学学士取得
平成8年 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻修士課程終了
工学修士取得
平成11年 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻博士課程終了
博士(工学)取得
論文題目: "Modular Simulation Technique for Virtual Experiment of Complex Phenomena in Materials"
(和訳:「モジュール型シミュレーション手法による仮想実験環境での材料の複雑挙動の導出」)
指導教官:  岩田 修一 教授

2. 研究内容

データベースおよびシミュレーションを効果的に活用した材料設計手法の研究、およびそれを構成する個別技術の開発。相互利用性を考慮した材料データベース構成手法としては従来のデータベース意味論を拡張し、物理的知見をベースとした意味論による相互利用性の確保を考察している。また、シミュレーション手法として、モジュール型シミュレーションシステムを考案した。意味階層上では、多様な情報資源がその役割を基準として等価に扱える、XML/RDFをベースとした情報資源の記号的表現、それを利用したシステムの実装の実装を行っている。
3. 主要論文
 
a) Interoperabilities of Materials Databases
Proceedings of 8th German-Japanese Workshop on Chemical Information, October 15-16, 1998, Karlsruhe, Germany. (to be published)
Shuichi IWATA, Naohiro SHICHIJO and Toshihiro Ashino.
現在に至るまで多数のファクトデータベースが編簒され、それは数および分量において現在も増加の一途を辿っている。しかしながら、それらは個々に閉じたシステムとなり必ずしもそれらが有効に活用されているとはいいがたい。その要因としては、システム構成上の不備という要因もあるが、より本質的に物理現象にかかわるデータベースを複数同時に扱うということの困難性によるものが支配的である。本稿では、二つの異なる材料の振る舞いに関する情報を比較する際に、比較することの物理的意味が保持されるレベルまでデータを変換・還元することで相互利用性を確保することを提案している。

b) 「材料設計における資源の統合化と設計環境の構築」
計算工学講演会論文集 Vol.3 (1998年5月) 日本計算工学会   七丈 直弘, 芦野 俊宏, 岩田 修一
シミュレーションシステムは個々に閉じたシステムとしてモジュール化され限定的相互利用性を確保している例は多くあるが、本稿では「開かれたシステム」として相互利用性を確保することができるかを考察した。システムとしてはJavaBeansを用い、Java言語を用いて実装されたシミュレーションモジュール(スピノーダル分解のシミュレーション)および既存の Fortranを用いて実装されたシミュレーション(熱応力解析)のフロントエンドモジュールを用意し、それらをJava統合開発環境下で結合させシミュレーションを実行させた。

c)  Parallel Simulation of Radiation Damage by PVM
Proceedings of the 1994 PVM User's Group Meeting, Oak Ridge, Tennessee.
Koji ANDO, Naohiro SHICHIJO and Shuichi IWATA.
メッセージ通信型並列処理ライブラリであるPVMを用い、スピノーダル分解のシミュレーションの並列化を行った。東大大型計算機センターのS3800と駒場第二キャンパスにあるSun SS10 3台をネットワークを介してつなぎ、パフォーマンスに応じたドメイン分割を行うことでネットワークにおけるボトルネックの回避を試みた。なお、当時はPVMを利用していたが、現在はMPIを用いて偏微分方程式ソルバを構築している。

d) Object Oriented Phase Diagram Browser.
15th International CODATA Conference, held in Tsukuba, Japan, October 3, 1996.
Naohiro SHICHIJO, Toshihiro ASHINO and Shuichi IWATA
工学的に再利用することができるような形で、状態図データベースを電子化するためには、その格納方式とユーザに対するインタフェースを考案しなければならない。本研究では、状態図ブラウザーをJava言語で実装し、ネットワークを介してユーザ同士が状態図を共有できるシステムを考案した。
 

4. 主要著書
 
a) 楠本 博之 , 七丈 直宏, Bit別冊「インターネットオペレーション」第8章 マルチキャスト技術 (共立出版, 近刊)