設立趣旨

吉川弘之(よしかわ・ひろゆき)

1956年東京大学工学部精密工学科卒業。工学博士。93年第25代東京大学総長に就任、97年退任。東京大学人工物工学研究センターの計画を中心となって推進する。本論文には、当センター設立の基礎ともいうべき、人工物工学の理論的枠組の概略がまとめられている(1992年4月、科学雑誌「イリューム」掲載)。


人工物工学研究センターは、吉川弘之東京大学元総長の提唱を受け、文部省の支援により1992年に創立されました。この研究プログラムが開始された背景には、我々の作り出した人工物が有限な地球上で互いに干渉し、環境への影響や大規模な事故など意図せぬ問題を起こしている現状があります。こうした人工物が人間の知識から作り出されていることを考えれば、我々は人工物を作り出す知識とその運用について、真剣に研究に取り組む必要があります。

人工物の設計に特徴的なのは、意図を実現するための発想が必要なことと、作られたものによってその発想が検証されることです。この発想を生み出す思考形式はアブダクションと呼ばれます。人工物工学研究センターの目的は、アブダクションを基軸にした、人工物の設計、製造、運用などそのライフサイクルに関する新しい学問体系の確立です。これに向けて我々は、知識の創出、利用、体系化の側面から、領域横断的に研究を行っています。

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